#14 AIの発達でUI制作は不要になるのか
2025.10.09(Thu) : RAW-Fi ZINES Newsletterはゲーム/デザイン/マーケティングに関するニュースレターを毎週木曜日に配信しています
AIの発達でUI制作は不要になるのか
「フロントエンドエンジニアが完全にオワコンになった件」という記事を読んで筆者が「AIと詳細にコミュニケーションするためのUIや、結果に対してアクションを起こすためのUIが必ず必要になるのだから、UIが消えて無くなることはない」という反論をしたポストが妙にバズってしまった。

例えばAI作曲サービスのSunoは最近DAW機能(楽曲編集機能)をリリースした。Sunoにプロンプトを打ち込めば全自動で楽曲を作り出すのだが「この音はいらない」などの細かな要望はテキストよりも直接操作した方が早いだろう。AIとのさまざまな共同作業が増えれば増えるほど、必要になるUIも増えるはずなのだ。
もちろん最初の記事でも触れている通り、究極を言えばそういったUIのベストプラクティスも全てAIが学習し、UI自体をAIが生成する時代も間違いなくやって来るだろう。だがその評価や調整に人間が全く介在しないとは考えにくい。フロントエンドUIのプロフェッショナルは当分の間は必要になるのでは、というのが筆者の考えだ。
こういった「AIがあればUIの進化不要論/そもそもUI不要論」は「AIが全てやってくれるのだから、人間は何も介在したがらないだろう」という “勘違い” から始まっているようにも思う。
そう、私たちは “操作がしたい” はずなのだ。ある目的が全自動で遂行されようとも、そこに人間は工夫と意志を込めたいという欲求がある。そして自分が操作した手応えを得たがる。それが人間なのだ。そうでなければデジタルゲームなんて一見無駄な行為を人間が楽しむはずがないではないか。
10月4日にSteam/iOS/Androidで無料で配信開始された『Upload Labs』は「避けられない熱的死から宇宙を救う」という壮大なゴールを目指し、ノードベースのプログラミングソフトの要領で究極のシステムを作成するシミュレーションゲームだ。システム構築によって新たなリソースを得てAIを強化し、収益を増加、さらにAIを強化…という最適化のサイクルは放置ゲー『Cookie Clicker』を彷彿とさせるが、本作はノードをコントロールし全体を掌握するUIの魅力が詰まったゲームと言えるだろう。やはり「楽するためにする苦労を楽しむ」のが人間の性分のように思える。
AI時代の今こそ、私たちが真剣にゲームを問い、真剣に向き合うことに意味があると私は思う。私たちの「ボタンを押したい」という欲求を舐めてはいけないのだ。
PlayStation 30周年と、その未来に寄せて
PlayStationが2024年12月3日で30周年を迎え、2025年はまさにアニバーサリイヤーである。9月30日には30周年を記念した大型写真集『PlayStation: The First 30 Years』の予約が開始されている。
この写真集では約400ページに渡り、PlayStationの未公開プロトタイプやデザインモデルが掲載されておりゲーム史・デザイン史における資料価値が高い一冊になりそうだ。通常版は¥20,000、デラックスエディションは限定1994部の¥50,000で執筆時点ではまだ在庫があるようだ(ちなみに筆者は通常盤を購入)。
また、10月11日 20:00〜 NHK総合『新プロジェクトX』では「異端児たちのゲーム機革命 〜電機メーカー 新時代への一手〜」と題し、初代PlayStation誕生秘話が語られる。地上波でこういったゲーム史がドキュメンタリーとして語られるケースは稀なため、ぜひチェックしていただきたい。
一方で悲観的な見かたをすれば、いよいよPSブランドが目指していたハイエンドハードとしての価値はPCにとって変わられている現状がある。現に『モンスターハンター ワイルズ』の販売比率の50%以上はSteam版であった。その一方でPS5プラットフォームのゲームソフトウェア制作のファーストパーティーであるPlayStation Studioは、直近発売の『Ghost of Yōtei』をはじめ高いクオリティに定評がある一方、売上自体は減少傾向であるという。ただしPlayStation Networkのようなネットワークサービスが堅調なことから、ソニーのゲーム&ネットワークサービス分野の営業利益は1246億円(43%)増の4148億円を弾き出している。
個人的には「ハードのPlayStation」は維持してもらいたいと思いつつ、比重がデジタルシフトしていくのは避けられのかもしれない。ぜひ今後もアイコニックな製品やソフトの誕生に期待したい。
「PlayStationとはなんだったのか」さまざまな切り口で語ることはできるが、当Substackではニュースレターとは別にPlayStationがゲーム文化に与えた影響について別途記事にしたいと思う。
💿唐突にゲームサントラ語り
浜渦正志『Piano Pieces ”SF2” Rhapsody on a Theme of SaGa FRONTIER2 (2010年再発盤)』
Apple Music / Spotify / Amazon Music
2025年も10月になり、終わりが見えてきた中、ふとこのアルバムをまた再生した。2025年はゲーム史の陰に隠れた名作『サガ・フロンティア2』のリマスター版がおよそ26年ぶりに発売され、その物語の完成度やゲーム体験の特別さに現代のプレイヤーが驚かされている様子がYouTubeやSNSで見られた。
本アルバムは『サガ・フロンティア2』のコンポーサーである浜渦正志氏が、ゲーム内で使用された楽曲をピアノアレンジした作品である。20210年再発盤では「Rhapsody on a Theme of SaGa FRONTIER 2」と題したオーケストラアレンジ楽曲が6曲も追加されている。ピアノ単体のアレンジも素晴らしいが、『サガ・フロンティア2』という大河ドラマに相応しい、映画音楽的なスケールに拡張されている。まず楽曲を聞いてから、これらの作品がゲーム本編でどのように鳴っているのか、確認されるのもいいのでは。
このアルバムを聴くときは何かに追われる中で、なんとか没入できる時間を作りたいときだ。一時期はすっとリピート再生していた時期もある。『サガ・フロンティア2』のサントラは共通の旋律、モチーフが複数の楽曲にわたり繰り返される構成になっている。仮に既に敷かれた運命(サガ)があったとしても、自らの生をまっとうする劇中の登場人物に何か力をもらえたら。私はそう思いながら再生ボタンを押している節があるのかもしれない。
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一部欠品が出ていますが、リソグラフで作成した『市民のためのエルデンリング』、無印良品とスプラトゥーンの写真集『AQDO Issue:2 UNBRANDED』は引き続きBOOTHにてお取り扱い中です。他にはない同人誌/ZINEですのでこちらもぜひ🙏
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