#12 「ゲーム中毒」を疑う前に私たちがすべきこと
2025.09.25(Thu) : RAW-Fi ZINES Newsletterはゲーム/デザイン/マーケティングに関するニュースレターを毎週木曜日に配信しています
「ゲーム中毒」を疑う前に私たちがすべきこと
『いま、カウンセラーはゲームに夢中な子どもとどう向き合えばいいのか?──つながる、わかる、支えるための心理臨床の視点』(遠見書房)を読了した。本書はサブカルチャーを愛する「サブカルチャー臨床研究会」に所属するカウンセラー、臨床心理士の6名の方による、子どもたちとゲームの問題に悩む大人向けに向けたゲームとの向き合い方を解説した本である。
2022年、WHOが「ゲーム障害」を国際疾病分類における依存症分野へ加えた。国内でも2020年の香川県ネット・ゲーム依存症対策条例など過剰な反応を集めることも多々あるゲーム障害だが、本書は「ゲームに対するネガティブな反応を和らげる」ことを目的している。本書のアプローチの面白いところはゲーム障害の誤解を解くわけではなく、まず「そもそも今の世の中に、どのようなゲームがあり、どのように遊ばれているか」を解説することを主とした点にある。
ゲームばかり遊んで、感情的になる子どもたちを見て不安になる親たちの気持ちはよくわかる。が、強い拒絶反応を示す世の中の人たちはゲーム障害について詳しく知らないどころか、そもそもゲームに対する認識のアップデートが行われていない可能性があるのではないか。本書はまずその認識のギャップを埋めることに注力している。
『マインクラフト』や『スプラトゥーン』などの子どもたちの人気のタイトルから、『ウマ娘』『あんさんぶるスターズ』のような育成ゲーム、”死にゲー” としての『エルデンリング』など、現在若年プレイヤーが遊びうるメジャーなタイトルについてそのゲームの面白さと、それらのゲームが支持される理由の解説していく。
何よりも感動的なのは紹介される各ゲームを実際に遊んでいたクライエントのカウンセリングのエピソードである。私生活についてあまり話そうとしなかったクライエントが、ゲームの話題になると明るくなりカウンセラーと心を通わせ始めるとともに、自身の生活の苦しみに対してポツポツと語りだす。多くの場合、ゲームが依存対象という “ゴール” ではなく、実は私たちが立ち上がるための “回復の過程“ にあるものであることがわかる。それを裏付けるかのように、今年の8月にJMIR Serious Gamesにて『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』をプレイすることが若者に幸福感を与える、という論文が発表されている。
私がRAW-Fi ZINES(のニュースレター)を継続する背景には、大人がゲームと、自身のゲーム体験をうまく語ることができていない現状を少しでも変えたいという思いがある。本書からは共通する想いを感じ、さらにそれを深いレベルで実践されている様に深く感銘を受けた。ぜひ別途本書の詳しいレビューを書きたいと思う。
ハードデザインをとりまく限界
残念ながら筆者が購入したiPhone 17はまだ届いていないが、Appleの新たなiPhoneラインナップであるiPhone Airに関して、デザイン面において「本体とプラトー(カメラを含む出っ張り。フランス語で “台地” の意味する)の同心性が担保されていないこと」「USB-C端子が中心からずれていること」などの ”デザイン上のいたらなさ” がSNS上で指摘されている。
まさかAppleがそのことに気づかずにデザインしたわけではないだろう。約5.6mmの最薄部を実現する上での限界が、こういった部位に出てしまった、と考えるのが自然だ。当然高性能な部品を詰め込むためにはなるべくボディが大きい方がいい(≒角丸の曲率は小さい方がいい)し、この薄さではもはやUSB-C端子の位置を調整する余裕すらないのは想像に難くない。
本コラムにこの話題を持ち出した理由は、Appleの苦心に思いを馳せるというよりも、私たちのデザインは「物理法則によって限定される」という至極当たり前の現実をiPhone Airを通じて見せつけられたことにある。
話がややジャンプするが、従来のゲームコントローラーのジョイスティックの多くはポテンショメーター(可変抵抗器)を採用しており、摩耗やゴミの侵入によりスティックが勝手に動き出す “ドリフト“ と呼ばれる現象が発生しやすかった。特にNintendo SwitchのJoy-Conではそれが発生しやすいといわれ、ネット上では非難の声が多かった。 最近発売されるゲームコントローラーの多くは磁場の変化を読み取るホールセンサーを用いたジョイスティックの採用が主流になっている(細かな原理はiFixitの記事が詳しい)。
ではNintendo Switch 2のJoy-Con 2はホールセンサーを採用しているのか?実はポテンショメーターのままなのだ。大前提としてホールセンサー不採用の理由は不明である。あくまで推測だが、Switch 2のJoy-Con 2の本体への固定には磁石が用いられている。コントローラー付近で磁石が使われていることが影響しているのかもしれない(ただそれだけでは磁石が関係ないSwitch 2 プロコントローラーにホールセンサーが採用されていない理由が説明できないが)。
この流れでiPhone 17とSwitch 2の共通点を言えば、放熱対策が強化されているところだろう。放熱に関するデザインや工夫は今後のモバイルデバイスのトレンドになるかもしれない。
なんにせよ、私たちは物理的な存在であり、物理的な限界がそこにあることを胸に刻みたい——というのと、SNSでのiPhone Airの評判が想像以上に良いので、無印17を選んで少しだけ後悔している自分がいる。
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一部欠品が出ていますが、リソグラフで作成した『市民のためのエルデンリング』、無印良品とスプラトゥーンの写真集『AQDO Issue:2 UNBRANDED』は引き続きBOOTHにてお取り扱い中です。他にはない同人誌/ZINEだと思いますのでこちらもぜひ🙏






